今回の見本市ではヨーロッパ勢の間でやたらと評判がいい「快快」を見に五反田まで。ドイツの「伝説的」ディレクターが来ていて、聞いたら昨日に続いて二回目とのこと。この公演過密状態で二回もというのは余程のことだが、実際、終演後に大騒ぎが聞こえてきたのでたぶん正式にオファーがあったものと思われる。スロヴェニア勢にもおおむね好評。ぼくは小指値の時に「ラボ20」で一度見て以来。見本市の時期に英語ヴァージョンを作ってぶつけてきているのだが、欧米のマーケットを意識しつつ「シンプルなストーリーを中3英語で綴り体現する」、何でここまで自己を弱い存在として演出したがるんだろうと思った。教養が失効なんかしちゃってる間に教養あるヨーロッパ人はこうしてどんどん新たな「教養」を仕入れていくわけである(ちなみに英語でも流通している「コドモ身体」が欧米でオリエンタリズム的な言説に援用されているという話も聞いたことがある)。セルフ・オリエンタリズム(自己植民地化)に開き直る前に、義務教育で役に立たない英語なんかに貴重な時間とエネルギー(と税金)をつぎ込まされ、そのまま大人になってしまう悲惨な現実に対して、怒れよと思った。「われわれが外国語を学ぶ唯一の目的は、日本語を母語とはしていない人々と喧嘩することである」(蓮実重彦)。スロヴェニア勢と立ち食いの寿司を食べて別れ、池袋でMと飲む。