噂のロメオ・カステルッチ、素晴らしかった。いわゆる「イメージの演劇」的なものと違うのは、とにかく「物質感」で語ろうとしているところではなかろうか。記号や意味よりもテクスチャー、量などのアナログな質が主役。ドローン的な緩慢さの中に突発事がビシッと決まるのは音楽(というか音響)がいいのだと思う。開演時の全暗の闇の濃さから、ゲル状のもののトロみ加減(冒頭から終演時まで見事に垂れ落ち続ける)、さらに匂い、重厚でツボを突くサウンド、ムダのない装置に至るまで、フォルマリズム(形式主義)の対極にあるマテリアリズム(質量主義)が貫徹。軽薄を承知で、ミケランジェロからランボルギーニに至るイタリア的な造形感覚とでもいわざるを得ない気がした。もう一回見たいと思う時って何も明日とか、数日後とかに見たいわけではなく、一ヶ月後くらいに改めて見れたら贅沢。
すさまじい花粉に耐えられずついにマスク購入し、デビュー。こんな世の中であっていいわけがない。