いまだ熱が残っているのか単なる鼻炎なのか定かならぬ体調のせいで朦朧とした意識に呼応するかのように時空間が混沌とした一日。まずACCの同期のBがカンボジアから来ているので会いに出かける。森下スタジオでやっているイェレナ・グラズマンのパフォーマンスを一緒に見て、お茶して引き上げようと思っていたら、先方に別件でランチの予定が入り、仕方ないので一人でパフォーマンスを見てその後落ち合うことに。森下ではまたAに会う。よく会うようになると立て続けに会う。PのKさんにも会う。このパフォーマンスがまた「劇の上演」を上演するようなメタ演劇的なもので、しかも開演直後はそういうものだということすらまったく把握させない作りで、最後はカンペの指示で観客が搬入口から退出させられる。そこでなぜか地下鉄の回数券が一枚ずつ配られ、外に出ても上演が終わったのかどうかよくわからない空気。携帯にACCからメールが来ていてNYの振付家Jと会う手筈がついたからと連絡あり。いきなり時間まで決められてしまい困る。しかも先方は携帯なし。さらにBから電話が入り、歌舞伎座の前にいるという。BはぼくがJと会うことになっているのをもう知っていて、だから20分くらいしか会えないだろうと。それなら悪いけどJと会う約束をパスさせてもらいたいところだがもうどうにもならない。困った――。するとおもむろに主演の女優役のパフォーマーが駅に向かって歩き出し、居残っていた観客たちはそれにゾロゾロついていく。結局電車に乗る。しかし隣の駅で一部の観客がゴソッと降りたので、けっこう愛想ないんだねなどとKさんと話していたら、発車間際にパフォーマーもツルッと降りて、置去りの観客を乗せて電車は走り出すという演出。内輪の観客が先回りして動いていたのでなんか疎外感ばかり倍増して面白くなかったが、それどころか今や、とにかくここから東銀座へ向かわなくては……上野御徒町の駅でKさんとS団のKさんと別れて銀座線。遅れて着くがもうほとんど時間がない。3年ぶりの再会で軽くお茶しかできず。「NYにいた時より若くなった」と言われる。歌舞伎の幕見席の列に並ぶというのでそこで別れる。もう約束の時間を過ぎているが日比谷線六本木ヒルズへ向かう。Jは見当たらず。一応しばらく待ってみてから帰る。鼻炎がどんどんひどくなって投げやりな気分になる。