甥っ子の顔を見に実家へ帰る。いくら見ていても飽きない。胚珠――。すべての複雑な経験のルーツがここにあるのだと思うとブラックホールのような果てしのなさを感じる。気が遠くなるほど彼方まで見通せるのではなくて、手前に陥没した穴のような、そしてそれがあまりに近くまで迫っていて身動きがとれないような。