参加

休日の上野なんていうのはもうそれ自体が動物園みたいなもので、自分もその仲間になる。知り合いには一人も会いそうにないものを博物館で見て、何となく根津まで歩いてモスに入って明大前まで移動、少し早すぎたので本屋に入ったら『ダンスマガジン』があり、國吉和子さんのトヨタアワードのレヴューを読んだ。余計な思惑や感情に曇らされていない直球な批評眼にいたく共鳴しつつ、ぜひもっとコンスタントにこまめに公演評を書いて頂きたいとも思った。キッド・アイラックでもあまり知り合いには会いそうにないと踏んでいたが、表に列ができていて、見ると前にいるのがダンサーSさんだった。中は満員で小さな椅子に腰かけ壁とおばさんとの間にギチギチに挟まりながら神経質な前の人に気を遣いながら*1、90分見た。ダンスはマジメなのにかなりワケわからないもので少々興奮させられた。こういうのが一番「参加してる」という実感がわく。

*1:まあ席の選択を失敗したのはぼくだが、最前列のあなたが5センチ前に出てくれると二人とも平和なんですけどと思いつつそんなこと言ったらキレられそうな雰囲気だったので黙っていた。小劇場っていうのは何事も譲り合わないとダメなんだけど、わからない内は本当にわからない。例えば、早く来たんだから好きなところに座って当然と思っていると後からどんどん詰められてしまったりする。慣れない内はここで憤慨する。しかし慣れると、荷物だけ置いて開演直前に戻るというテクニックを身に付ける。