『black ice』の第二部によって、振付家・金森穣に対する認識を完全に改めた。はっきりいってこれは凄い。振りの密度、語彙の多様さにものけぞるが、何より動きのヴォリューム、線の力強さが並大抵ではない。低い姿勢で床についた腕を梃子にして体全体を真横へ一気にスライド、などといった無理な動きも実にショッキングだ。そしてダンサーの動きが格段に良くなっていることに驚いていると、第三部をじっと我慢してやり過ごした後ラストの金森ソロが始まった瞬間に愕然とする。格が違う。柔らかく良質の筋肉。体の断片が唸りをあげて辺りに吹き飛ぶ。大変なことになっている。