チャリ

警察署に免許の更新に行った。ケーサツの人というのは、権力を握ってしまっている人の余裕か、きちんとしすぎているがゆえに何とも適当でだらしなく思えるところがあり、マイペースで(ノロいんじゃなく、逆)、そこが時々イイ味を出している。行動パターンを限定されたペットが可愛く思えるのと似ている。
そのまま麻布die pratzeに行った。無料公演というので早めに行ったら誰もいなくて、ヒマをつぶして戻ったらクロストークKさんがいた。クロストークKさんに、役者をされているというKさんを紹介された。女優Kさんはポかリンのようなキモノであった。三人とも舞台の印象は上々のようだった。
よい舞台にも色々ある。見た後、興奮でボーッとしてしまうという舞台もあれば、ひたすら言葉が湧いて出てくるという舞台もある。しかし一番幸福なのは、感性のアンテナがやけに鋭敏になって、自分も何か作りたいような気分にさせてくれる舞台かもしれない。
春の強風で駅前の広い自転車置場の自転車がところどころまとまって倒れているのを見て、妙にグッと来てしまった。今まさに倒れているのではなく、すでに倒れている。自分がここへ来る前に、自分が見ていないところで、盛大に倒れたのだろう。その上をなおも風が吹きまくっている。何がイイのか自分でも今一つよくわからない。銀色の華奢な器械が無表情にゆっくりガシャンガシャンと倒れていく動きが、春の強風のヌルい荒々しさと人知れず共鳴していた、そしてそれを自分はたった今まで知らなかった、そのことがエロティックに感じられる。カメラを持っていたら良かった。いま俳句にしてみようと思ったが恥ずかしすぎてできなかった。
久しぶりに『はねるのトびら』を見た。時間帯が早くなってからはいつも見逃してしまい、今日も偶然だった。ずっと前、週一から月一に変わったときは「質を下げないため」という気概をむしろ感じたが、時間帯が早くなってすぐに見てみたときは一個一個のネタをダラダラ引き延ばして本当につまらなくなっていた。それで今日も、「カワイイ」のネタに上戸彩なんか出して、あぁゲストでつながないともたないのか(数字目当てなら画面下に小窓でずっと写しとけ)と思ったが、見ていたらそれほどでもなかった。一個一個のネタは短く、ほどほどのバランスになっていた。