2005-08-04~07

8月4日(木)。横浜のBankARTで安藤洋子&日野晃のWSショーイング。帰りの電車で一緒になったMさんに、日野氏がいかに松山千春に似ているかを力説したが伝わらなかった。Mさんとは保険金詐欺をめぐるしょうもない話をしていて、なぜか当たり屋の話になる。ネパールでは中途半端にはねられたりすると追いかけられて死ぬまで轢かれるらしい。傷害より死亡の方が経済的な負担が軽く済むとか。そういえば西原理恵子の何かの本にも子供がバンバン轢かれてる話があった。そういう、いってしまえば人の命が相対的に「軽い」ような世界観もありなのかなあと思った。渋谷駅でMさんと別れ、新宿から夜行バスに乗る。夜行バスは10年以上前に一度だけスキーに行った時以来。とにかくタバコの煙が車内に充満していて気分が悪かったという記憶があるのだが、さすがに今は禁煙。よく考えると昔は電車とかバスとかも全部、普通にみんなタバコを吸っていたのではなかったか?今から思えばゾッとするが、当時はそれほどのこととも感じていなかったように思う。格安なので座席は四列だが予約が遅かったせいか最後列。両脇が人である。ぼくは幼い頃習っていた水泳のせいで肩幅がムダに広く、こういう時は実に窮屈な思いをし、また左右の人々に窮屈な思いをさせてしまいもする。乗客は若い人が多く、どことなくトゲトゲしくなってしまいがちな雰囲気を皆で押し殺しているような、険悪と博愛の混濁。見知らぬ人と睡眠を共にするバナールなスリル。いい年をしたオバサンと冴えないパンク少女がカーテンを奪い合うさまなども風情を欠き、ただただ気が滅入る。SA休憩の度に降りて最大限車外で時間を過ごすなどしながら、朝までうつらうつらしては目を覚ましたりしていた。楽しくない移動。何ともいえず惨めな気分になってしまう。
8月5日(金)。京都駅に着く。しばらくうだうだと時間を潰してから地下鉄に乗り、二条城前で降りて堀川通りをガンガン歩く。朝から日が照り付けて強烈に暑い。二条城の周辺は凄まじい蝉時雨。上長者町通を左折してしばらく行くと、AIR京都。ここは ART COMPLEX 1928 がプロデュースしているアーティスト向けのレジデンス施設で、ART COMPLEX のHさんに紹介してもらって泊まれることになった。汗だくでたどり着くと管理人のYさん(Qちゃん)に会えて、すぐ部屋に入れた。ラウンジにはコンドルズと妄人文明の痕跡。最高なのは自転車を貸してもらえたことで、実は先月の山口・萩以来自転車にハマッていてさっき京都駅でもレンタサイクルを探していたのだった。コンビニで食料を調達してラウンジに戻ると同宿のUさんとSさんに会う。Sさんは地点の俳優で現在稽古中。Uさんはインドネシア舞踊に通暁していて京都でWS受講中インドネシア情報は色々知りたかったところなのでいきなり2、3時間ぐらい話を聞いてしまう。思わぬところでACCのMさんの名前が出て驚いたりする。シャワー浴びてさっぱりしていたらHさん来る。メールだけだったので初対面。素麺ご馳走になる。Hさんは素麺を焦がしていたが激しく美味く。自転車で出て四条烏丸のHISへ行き、インドネシア行きの航空券のことで情報収集。JCDNへ行って話したりヴィデオ見せてもらったり。夜になってFさんとお会いし、JCDNのSさんと三人で食事。遅くまで話してまたチャリで帰る。メールチェックしたりしながらQちゃんと喋っていたら、窓の辺りでヘンな音がして一瞬凍るが正体分からずそのまま忘れて寝る。
8月6日(土)。遅めに起きたらQちゃんのお母さんに会い、フルに朝食をご馳走になってしまう。朝の和食は常に最高。Qちゃんのお母さんは長野の「山の小学校」で音楽の先生をされているそうで、何か和む話。チャリを京都芸術センターに置いて地下鉄〜JRで大津へ。Fさんと待ち合わせして早めにびわ湖ホールへ行き、まだ人気のないテラスでビール。以前お世話になったSさんが先に来ていて初対面。Fさんと近況とか将来のこととか喋っていると、関東からの遠征組がどんどん到着。Tさん、Sさん、Tさん、Sちゃん。喋っているとチェルフィッチュの開場時間なので並ぶとさらに沢山。Aさん、Nさん、Sさん、Eさんなど。超満員。Hさんと、JCDNのHさんと三人で京都に戻り、京都芸術センターでメキシコのグループ、ラ・マンガの新作。大阪dBのOさん、Aさん、Yさん、あとSやんに会う。東京で何度か会ったTさんがセンターの職員になっていたりした。打ち上げに混ざってメキシコ料理。センターのTさんと久しぶりに喋る。ラ・マンガの二人は翌週にBankARTで公演がある。ぼくは明日の朝早いので「横浜でまた会いましょう」と言って早めに切り上げ。AIRに戻るとUさん、Sさん、Qちゃん、Hさん。あと昨日一瞬会ったE from シカゴ、地点のOさん。UさんとEはラ・マンガのマチネを見ていたので感想など聞く。再び素麺を頂いたり、Eとシカゴの話をしたりする。シカゴといえばなぜかぼくは『ホーム・アローン』なのだがデ・パルマの『アンタッチャブル』と『ロード・トゥ・パーティション』(よく知らない)もシカゴらしい。シャワー浴びて寝る。
8月7日(月)。早起きしたらQちゃんとHさんを起こしてしまった。AIR京都は色んな人に会えるし気楽で本当に楽しかった。二条の駅までHさんチャリで送ってくれて、ぼくは京都から特急で金沢へ。二時間くらい熟睡したら着いていた。適当に食事して、駅のレンタサイクルを借りて金沢21世紀美術館に向かう。異様に混んでいてショックだったが混んでいるのは「人体の不思議展」をやっているからだった。マシュー・バーニーの方もよく入ってはいるが混雑してはいない。圧倒的な作品の数々だが、親子連れが多く、子供がダッシュしてパネルの上を横切り監視員を慌てふためかせたり、親に「脳ミソどこー?」と駄々をこねたりしていた。アートなんていうものは世界に飽きてしまった大人の楽しみなのであって、子供には必要ない。世界に飽きていない子供は世界をどんどん見るべきだ。アートなんかより脳ミソとか、虫とかを徹底的に見るべき。14時からフィルム上映。中身は凄いのだが睡魔と闘わずにはいられない。シネマライズで『クレマスター』全作一気見した時ほどではないにしても145分はつらかった。時間が余ったが疲れていて街を見たりする気力はなく。金沢は初めてで兼六園とかもすぐそばにあるのだが、何も見ないで夕食をどこにするか探して走り回る。賑やかなエリアが見つからず、どこへ行っても閑散とした街並。109とかリブロはあるがコンビニなど明らかに少なすぎる。日曜のせいか閉まっている店も多く、開いているのは鮨屋ばかり。結局また駅ビルで適当に食事して夜行バスの時間まで一人でビール飲んだりしてしまう。帰りのバスは、格安のが予約できなかったため不必要にデラックス。三列。しかも異様に空いていて採算取れているようには思えない。きわめて快適でよく眠れた。