「アジアダンス会議」のレポートを下山浩一さんが書いてくれている。
2日目、午前中は國吉和子さんによる、日本ダンス史概観。とはいえ「ダンス」という枠組を自明の前提とするのではなく、「身体」の表現、あるいは「アクション」といったような切り口で歴史を見る視点が興味深かった。特に戦前の村山知義など、かなり凄そうで、もしこういう軸で通史を書いたらどうなるのだろうと思った。「ダンス」史じゃない「身体」表現の歴史、というフレームを漠然と設定してみると、コンテンポラリーダンスなども何だか違った見え方になって来る気がする。
午後はまず、ほうほう堂の新鋪美佳さんの「私のダンス」。プレゼンテーションがあり、それを踏まえてフロアとディスカッションする。このセッション自体とても実験的な試みなので、手探り状態の部分もあり、新鋪さんには欲求不満がたまってしまったと思うが、内容的には面白い話がこれでもかというくらい出てきて興奮した。特に、ほうほう堂について話しながら「暴力」の話題になるなんて、思っても見なかった。というか、ぼんやり感じてはいたことかも知れないが、それをクッキリした言葉にすれば、論理的に分析する糸口が見つかる。
次に身体表現サークルの常樂泰さんの「私のダンス」。これは何といってもリアル「宴会芸」時代の秘蔵映像のインパクトだが、個人的には宴会芸から劇場へ、という移行の中で何がどう違うか、という辺りの話が重要な論点を出してくれていたように思う。モチヴェーションも違うし、発想の仕方も、創る際の意識も違う。じゃあその違いとは何なのか、何でその違いが出るのか、その違いの意味は何か、と無限に「わからないこと」が生まれていく。
全く文脈の違う外国からの参加者とのやり取りは、やはり新鮮な視点を与えてくれる。もっともっと時間があればいいのにと思う。