Iさんとは趣味が合わないのだろうか、昨日とは打って変わって何の手応えもない一時間だった。
それにしても退屈なものを見ているとどうして寝不足でもないのに眠くなるのか。ただ普通に生活していて退屈を感じるときは別に眠くなったりしない。劇場などではどんなに退屈でもそれを一応見続けていなければならないことが多いわけだが、だからといって眠気が襲ってくるというのは冷静に考えるとなかなか納得しがたいものがある。「もう見たくない」がゆえに「瞼が自動的に降りてくる」という理屈も成り立つが、しかし視覚情報を遮断するためだけに睡眠欲が起こってくるというのは少し大袈裟すぎるように思える。
見る対象に多大な集中力が傾けられていて、しかしそこから何も得るものがないとき、意識がもっと何か見える見方がありはしないかと右往左往したり、つい集中力が対象から逸れ、無関係なことをあれこれ考えてしまったりしているうちに疲れてしまい、今度は自分自身の疲労(集中力の低下)とも闘いながらなおも対象に何かを探し続け、気がつくと数秒間の空白があったことに気づき、しかも眼前では数秒前と同じ光景が相も変わらず繰り広げられていて疲れがドッと倍加する、という説明が実感としてはしっくりくるが、仮にこの「疲労」という契機を考慮に入れても、そのときすぐに直ちに眠りに落ちてしまうほどの疲労とはいかばかりのものかと思う。たかだか数十分退屈しただけで、徹夜明けの次の日の明け方、ぐらいの勢いで疲れるとも思えない。その証拠に、その場から解放されると眠気は少しも後に残っていないのである。謎だ。(くだらない)