第五日

朝リアにポスト・モダン・ダンスについて講釈を垂れていたらコンスタンツェが来た。このレストランで毎朝ミーティングみたいになる。ぼくら6人はフェスのブロードシート(瓦版みたいなレヴュー集)に執筆することになっていて、その締切が明日の午前10時だから、今日はみんな半日原稿書きだろう。アルと一緒に洗濯物を取りに行き、夜またプロジェクトへ行く。アイルランドのダンサーや組織を網羅した The Dance Directory 2004 という冊子を発見し購入。今回ぼくが持参して配りまくっているJCDNのデータベースとは比較にならない量ではあるが、この国にも結構色々な人がいるようだ。フェスにも Rex Levitates と Dance Theatre of Ireland という地元カンパニーが入っていたのだが、日程の関係で見られなかったのが残念。アイルランドに来てアイルランドのダンスを見れないとは。それにしてもリスの体調が芳しくない。一昨日のランチの後あたりからお腹の具合が悪くて医者に行っていたのだが、今日はもう顔が蒼白でつらそうだ。それでも本人は大丈夫だと言っている。心配。リアもコンスタンツェも原稿をあげたらしい。アルは今日これから見るやつの分だけ空けて後は終っているという。さすがみんな新聞関係者らしく仕事が速い。ぼくはまだほとんど手を付けてない、なんて言えない。今日はデジャ・ドネ(フランス語で、英語に直すと already given)というチェコのカンパニー。ウェルメイドな演劇寄りの作品で、なかなか楽しいが刺激は少ない。日本人のダンサーが一人いたが、ぼくの琴線に触れたのはきわめて動物的なイタリア人のダンサー。もうとにかくマンガじみた異常に敏捷な動きは呆れてしまうほどなのだが、誰も共感してくれない。コンスタンツェもリアも、基礎のよくできた長身の女性ダンサーばかり褒めていた。今晩もまたみんな食欲がないという。すでに22時近いのだが、みんな昼食が遅かったらしい。コンスタンツェは真夜中近くに食うのが習慣だとか、もう何言ってるんだという感じで、二人が気に入っているというイタリアン・レストラン Ciao Bella でピザをテイクアウトにして帰る。