原稿一つ上げる。大小様々な仕事が堆積しているからこの二日間の「休肝日」は貴重だったのに、思ったほど片付いてない。
関西で出ている月刊誌『エルマガジン』10月号を見ていたら、是枝裕和の『誰も知らない』のことが出ていて、いい言葉を見つけた。どんな映画かはよく知らないのだけど、YOUが「最低なんだけど憎めない母親」を演じているらしく、そのYOUが自分の役柄のことを「彼女は悪い人じゃないんだけど、ちょっと頭が悪かった」と語っていたそうだ。グッと来る。「意志が弱かった」とか言わないで「頭が悪かった」と言うところがいかにもYOUらしくて、嘘っぽいヒューマニズムを遠ざけてる。誰だって後になってから「こうすりゃよかった」ぐらいはわかるわけだし、理想ならいくらだって思い描けるし、でもどうしたらいいのかを考えるときには「頭の良さ」が問われて、それによって結果的にあたかも最初から悪いことを考えていたかのように思われてしまう。理想と現実をダイレクトに、一瞬でイコールにできてしまうのは造物主だけで、そのプロセスを生きなきゃならない人間は誰しもそれぞれに「頭が悪い」。「意志が弱い」というと「意志を強く持て!」とか根性の話になってしまうけど、「頭が悪い」のは基本的にもはや絶望的なことで、しかも同時に、それ以上のことではなく、とにかくその中であれこれやりくりしていくだけだ。
明日からまた4連続。金曜はBATIK、土曜はさいたまでナルシソ・メディナという人のソロを見て、夜はユーモア・イン・ダンス。日曜も。月曜は芸術見本市。