一週間

インタヴューをまとめる仕事が一応すべて終了。ホッとする。土曜日などは、徹夜明けのまま昼にウズメの人でなしレビュー!というやつを見て、空き時間にまた仕事していたら土砂降りになってきて、でも電話で聞いたら「やる」というから井の頭公園でカッパ着て傘差して100分ぐらい突っ立って田中泯を見て、電車に乗って(無意識のままワープするかのごとく)帰って、また明け方まで仕事して完成させて泥のように寝た。
ウズメの人でなしレビュー!は初めて見たのだけど、なかなかよく出来ていて楽しかった。台本の内容が丸ごとベタベタな「お約束」であることとか、ブラックなノリにしようとしているのに黒さが全然甘いこととか、まあ色々あるのだけど、毛皮族のような内輪ノリに陥ることもなく、しっかりゴージャスに魅せてくれる。いい感じの作家か、ドラマトゥルクみたいな人が入ったらすごいことになりそう。
8月後半は「ユーモア in ダンス」の和物・洋物、それから芸術見本市の中国物などを見ながら、「誰が誰に向けて表現しているか」ということをずっと考えていた。特に中国物なんかはどう見ても古いエキゾチシズムで売ろうとしているタイプのもので、まあ外向けにはそれとして成立するのかもしれないが、じゃあこの同じものを国内でもやっているのだろうかという疑問が残る。例えば身体表現サークルは明らかに戦略的に「日本」を演じているし、舞踏が「東北歌舞伎」とか言っていたその口ぶりにもアイロニーが混ざってるわけなんだけど、そういうものがこの中国物のダンスにはほとんど感じられない。単に自分が色々知らないから、「ひたすらマジで中国を演じてる」ようにしか見えないのだろうか。何気に面白かったフィンランドの Gruppen Fyra の「北欧ポップ」的な売り方もエキゾチシズムの一種と受け取れなくもないけれども、中国よりはいくぶん不純なところが感じられ、フィンランドの人が「北欧ポップ(笑)」とかいって半笑いで喜んで見ている可能性も、多少は、なくはないと思う*1
あとは黒田育世。『SHOKU』は去年横浜でやった時がベストで、今回のはこれまでの黒田の舞台の中でワースト。ダンサーは無闇にきめ細かい凡庸な振付をフニャフニャ踊り、トラムの空間を計算できていない演出が空回りし続ける。そうなると頼みの綱は黒田のソロということになるんだけど、それすらも見たことないほど弱々しかった。「振付」ということを意識するあまり、あちこち整理しすぎてしまったのではないか。何だかニブロールと似た展開。
オリンピックの閉会式は、開会式ほどではなかったがやっぱり面白かった。巨大な食卓が準備されていくところなどは、アンゲロプロスとかクストリッツァとか思い出して、「バルカン的なるもの」というのがあるなあという認識を得た。開会式には出てこなかったギリシャの歌手も多数登場。ハリス・アレクシーウ以外は一人も知らない。

*1:いずれも大使館経由で来ている「輸出品目」だという点は見逃したらダメだけど。本当はもっとオルタナティヴで面白いのがフィンランドにも中国にもゴロゴロしてるに決まってる。ちなみにイラン映画っていうのは、ああやって子供ばっかり出すのは外向け、コンペ向けにやってるのだという話を聞いたことがある。