四段

交通費を節約するため、延べ出動回数を削減して可能な限りハシゴハシゴで詰め込むようにしているので、今日は四段梯子。しかも一日中Sちゃんと一緒で、劇場はどっちもチェルフィッチュ岡田くんと一緒だった。
まずスフィアメックスでジンジャントロプスボイセイ。その前にモスでライスバーガー海鮮かきあげ。これはNYのシェン・ウェイ・ダンス・アーツのKちゃんから教わったもので、以来モスではこれ。激烈に旨い。ジンジャンは去年の「ユビュ7」以来二度目だが、やっぱりピンと来ない。こんなコテコテに「鈴木忠志」だったっけ。でもこういう感想はたぶん、基本的にぼくが「演劇」に関心が薄いことと関係があると思う。ストライクゾーンが狭いというか、ざるの目が粗い。ダンスとか映画とかなら色々細かくここがいいとかあそこがいいとか言うわりに、演劇については何か大雑把で、明らかに革新的と思えるもの、例えばチェルフィッチュぐらい新しいと反応するが、逆に何でもそれぐらいの斬新さと比較してしまうので、色んな差異に心を動かされない。まあいいや。遍歴をたどるとまず映画にハマり、そこからダンスに行ったので、演劇に関しては思い入れがない。
その後、新宿駅からオペラシティまで(人込みの中をランニングしてる奴に思い切り肘鉄されて思うさまグロテスクな妄想を脳裡に煮え立たせながら)歩き、途中でケンジタキギャラリーに寄って塩田千春という人の個展を見る。ベルリン在住の作家で、今年のトヨタに出ていた可世木祐子さんとコラボレートしたりしている。置いてあったカタログを見たら可世木さんが出ていた。
オペラシティではインターコミュニケーションセンター。先日批評家のSさんからタダ券を頂いたので、今回初めて来た。3D空間にペンで画を描いて音を出すやつが面白かったけど基本的にこの手のメディアアートってやっぱり興味もてなかった。
中華で夕食。ぼくもSちゃんも相当疲れてて、ビール飲んでマジで閉店モードだけど駒場まで移動。アゴラで地点『じゃぐちをひねればみずはでる』。二人とも疲労と満腹感から「途中で寝てしまうのではないか」という強迫観念に怯えていたが、どっちもが同時に寝てしまうということはおそらくありえないのだった。これは主に高校、予備校、大学での経験と観察に基づく科学的なデータで、隣の席の人が寝ているとたいてい自分の眼が異様に冴えてくるし、隣の人がはりきってノートとっていると自分が眠くなる。つまり眠気は転移する*1。人の眠気を吸い取ってしまって眠くなったり、吸い取ってもらって起きたりする。隣の人が寝てるなと思っていたら、不意に起きて、すると今度は自分が寝てしまったり、その逆とか。そして今日は、ぼくは開幕後10秒であまりの面白さに意識は冴え渡ったが、Sちゃんは終始ガン寝していた。Sちゃんには気の毒ながら、素晴らしい舞台であって、終演後は皆の顔がほころんでいた。良質の芸術は間違いなく人々に平和をもたらす。

*1:いかなる要因と力学のもとに配分が決定されるのかは不明。