溜池山王→浅草

「DANCE×MUSIC」初日。ヴィデオでは前に見ていたが、じゃれみさ×桜井圭介の『O[JAZ]Z』は相当に面白い作品。襖、ちゃぶ台など「低さ」を強調する装置に加え、十二畳の空間に靴下という不安定な足元(跳躍できない)ゆえの「低い」運動が、「小津的なるもの」のダンス的変奏たり得ている。賑やかな音楽と静かな佇まいのコントラストなども計算高く、振り幅の小さいチマチマした動きや細かなニュアンスがことごとく生きていて「振付作品」として見事だと思う。北村成美×巻上公一の『インダスヒュー』は、即興性の強いシークエンスが3分ごとに機械的に遮断される構成が斬新。何せ3分なので、その間に急速にノリを上げてサッと振り切る。この構成についてアフタートークで聞いてみたら巻上さんはリチャード・フォアマンから発想を得たとのことで、この話は面白かった。巻上さんは95年に『マインド・キング』(四谷・P3、ちなみにジョン・ゾーン生演奏付きだった)、00年に『エジプトロジー』(ラピュタ阿佐ヶ谷ザムザ)を上演、さらに鴻英良さんと共に『反響マシーン リチャード・フォアマンの世界』('00年、勁草書房)[amazon]を編訳されているが、フォアマンが観客の没入を妨げるために使うフラッシュのような仕掛けが『インダスヒュー』に応用されているのだった*1
今回初めてトークの司会というものをやった。隅田川の花火の関係で50分も引っ張らねばならなかったためネタをたくさん用意していったが、ほとんど使い切ってしまった。明日は短めに。
浅草へ来る前は赤坂にいた。プラハの Archa Theatre というところが作ったミクスト・メディア・パフォーマンス。プロデューサーのオンドレイ・アルハさんはプラハで劇場を運営していて、ロバート・ウィルソンやヴァンデケイビュス、メレディス・モンクや田中泯をはじめとして世界中からアーティストを招いているらしい。とりあえずDVDをゲット。銀座線に乗って浅草へ向かおうとしたら、16時の時点ですでにラッシュになっていた。押し合い圧し合いしながら花火が見たいという人々の気持ちはあまり理解できない。

*1:あと室伏鴻が70年代に福井で立ち上げた舞踏派「背火」でも、巻上さんは音楽をやったことがあるとのこと。