田舎

マンハッタンから電車で90分ほどのところにある、ビーコンという街の Dia:Beacon という美術館へ行ってきた。元工場の建物の中に、デ・マリア、ジャッド、セラなどを始めとする(主にアメリカンな)巨大作品ばかりを展示してある。時間があまりなくて全部は見られなかったが、ゲルハルト・リヒターのグレーのガラスがやはり凄くて、「視覚」という観念が根本から揺さぶられた。他になぜか好きなダン・フレヴィンとか、セラの巨大鉄板。庭に設置されたルイーズ・ローラー(Louise Lawler)のサウンドインスタレーションも馬鹿馬鹿しくて良かった。木の植え込みなどがあり、そこに仕掛けられたスピーカーから鳥の声がしている、と思いきや実は人間のヘンな気色悪い物真似である、というもの。声はヴィト・アコンチやウォーホルなど色んなアーティストが参加している。
この日は地下でパフォーマンスがあって、それが目当てだったのだが、あまり面白くなく、長く、中盤辺りからどんどん観客が帰っていて、その反応の身も蓋もないダイレクトさが笑えた。
いつの頃からか、外国へ行って電車の窓から田舎の風景を見ると犯罪の匂いを感じてしまう。DVとか幼児虐待とかレイプ、あとは不倫など。こうしたもののイメージが、都市ではなく田舎に転移している。
夜、マンハッタンはすごい雨。雷も。