また徹夜でヴィデオ編集をして意識朦朧としたまま出かけ、レクチャーをした。メールを流すのが遅くなってしまったが、思っていたより多くの人が来てくれた。事前の打ち合わせ不足で時間が足りなくなり、一部カットせざるを得なかったものの、カットしたら内容がますます純化され、全く異様な映像ばかりが連続することになった。冒頭で室伏鴻を流しながら舞踏と「ポスト歴史」の話をして(コジェーヴと土方)、白井剛の『質量, slide, & .』、黒田育世、手塚夏子、チェルフィッチュ、ほうほう堂、身体表現サークルを主題別にカテゴライズした。ぼく自身NYのダンスをずっと見続けた後で、こうして改めて見ると日本の傾向が相対的に、かなりはっきり見て取れるのだが、それにしても「日本のコンテンポラリーダンス」というタイトルのもとにこのセレクトは強烈ではないかと思う。まず見た目には少しも「ダンス」らしくない。とりわけNYのダンスとの隔たり具合はハンパではない。何なんだこれは、というのがまともな反応だろうと思う。方法論的な意識と表現の強度が両立しているものを選び、そこからさらに絞り込んだ結果、日本では本当に「前衛」運動が進行しているかのような印象さえ醸し出されていた気がする。だからヴィデオと照明のオペをやってくれた方が「ぼくには何だかワケわからないものばっかりだけど、今日のヴィデオはとにかく面白かったな」と言ってくれたのは全く狙い通りで嬉しかった。とはいってももう一つの狙い、つまりダンスをよく見ている人たちにはどれぐらい納得してもらえたのかということについては、今一つ実感が沸かない。あまりにもコンテクストが違い過ぎるということもあるが、その違いが際立つだけのところまで、つまり彼我の見解が食い違うその根本の理由が客観的に明らかになるところまで、コミュニケーションを深めるということが本当はしたい。ちなみに、10月にAの踊る「タンゴ舞踏」なるものを見たのだが、Xによればアルゼンチンではこのタンゴと舞踏のフュージョンがかなり流行しているらしい。世界は本当に広い。XとNとMさんと、先日ようやくNY入りしたCちゃんと軽く焼肉をやって打ち上げ。全然眠っていなかったため帰宅してそのまま倒れて14時間眠った。最後の大仕事がやっと終わってホッとする。次は西海岸への旅行の準備。