入稿…。しかしあと十日ほどの間に片付けることが山ほど残っている。
湿気で、部屋にある本がそろってシワシワに波打っている。いつの間にかそうなっていて、また気づかないうちに元に戻るのだろうと思うと、何となく「かわいい」感じがする。
日本沈没』リメイクとかで、また苦手なタイプの映像がCMで流れている。早速イヤな夢を見てしまった。家にいたら地鳴りがして、徐々に揺れが大きくなってくる。戸棚を、倒れないように押さえて立っている。でも揺れはさらにひどくなってくる。結構大きいなと、ちょっと不安になるくらい。テレビでは野球中継をしていて、球場でも揺れが感じられたらしく、アナウンサーができるだけ平静を装った声で「あっ、地震ですね」と言う。選手の顔のアップになる。試合が中断した模様。ウソだろと思うくらい、容赦なく、揺れが一段と大きくなる。カメラは揺れ、スタンドもざわついている。突然球場内のどこかでボンッと爆発が起きる。悲鳴が上がる。巨大な照明塔が傾いで、観客の上に倒れかかってくる。自分ももう立っていられない。家の外から誰かが呼んでいる。終わり。
伊藤千枝のソロは、良くも悪くも想像を裏切らない内容だった。気負わず、やりたいことをやった、という印象を受けた。しかし本当に「ただのダンス」であった。良い踊りだったし、伊藤千枝らしさは随所に出ていた。微妙なルバートをかけたり、ニュアンスを転がしたりするのを、それなりに楽しんだが、しかしここまで「ただのダンス」を、こんな風に舞台を設えてやっている、そしてそれを我々は見ている、ということが実に奇妙なことのようにも思えた。単に「ダンス」であるというようなことが、そんなに珍しがられ、ありがたがられる環境って一体何だろうか。何も知らない人が見たら、こんなことなら自分で踊った方が楽しいよ、とか言うのではないかと思った。終始、伊藤千枝の隣に黒沢美香を置いて、あれこれ考えながら見ていた。