水曜は森下スタジオでの公開リハーサルと、青山のトリエンナーレがかぶってしまったので、森下の方のゲネにお邪魔させてもらって、終わってすぐ走って表参道へ、なかば諦めていたのだが奇跡のようにギリギリすべり込めた。アルコ・レンツの作品はジャカルタで見ていたから、正直ちょっと遅れてもいいかなどとユルい気持ちもあったのだが、主に空間の違いゆえに内容はほとんど別物に近く、超強力なパフォーマンスだった。ジャカルタの会場は新宿文化センターの大ホールくらいのサイズで、遠いからダンサーのエネルギーも拡散しているし、単なるミニマリズム程度の認識しか得られなかったのだが、今回はディテールをもらさず受け止めることができて、息を詰めて喰らいつくように見た。左手の指をバリ舞踊のようにずっと細かく震わせているのは見覚えがなかったので、後で聞いてみたら、ジャカルタの後、帰国の途上でバリへ寄って、そこで新しく取り入れたのだと言っていた。ルカヴァリエは、座った席の角度で見えない部分が思いのほか多かったのだが、一昨日のがまるで嘘のようだった。
しかしそれにしても凄かったのが神村恵カンパニー。残酷なまでの大胆さ、率直さに、天才的なアイディアも加わり、あまりの緊張感と、その無意味さに、なぜか笑いが止まらなかったという自分の反応の仕方にうろたえる。静謐で滑稽で美しく不気味で、微かに温かい。六人それぞれのキャラがよく立っているのも見事だと思った。本番はまだ三ヵ月後、それまでにどうなっていくのだろう。福留麻里はやはり「ほうほう堂ソロ」という色が濃いけれども、デュオとの差異を起点にソロを考えるところにも色々な可能性が広がっているように思った。