スケジュール的にかなり無理があるのだがチケットを取ってあった国立劇場の「舞の会」、それなりに良いものもなくはなかったが総じてヌルめのテンションのまま疲れが来ていた頃、昼夜通しで12本のうち最後から二番目、井上八千代の「八島」のあまりのカッコよさに失神しそうになった。長刀なしで扇が一枚、後に二枚。何かが一瞬キラッと光ったその光が、一瞬じゃなくてそのままそこにずっとあり続けて、ずっと見ていられるということに自分が耐えられなくなる。腰が抜ける。最近舞台横に歌詞字幕が出るようになったので(耳で聞き取れないのは惨めだが)、今回はわりと歌詞を意識しながら踊りを見るように努めていた。しかしこの踊りの幕が開いた瞬間そんなことはきれいに忘れて最後まで見てしまった。この後はもう何も見たくなかったのだが、後見二人に帯を支えられながら(立てない)「山姥」を踊る川口秀子のトリもある意味で凄かった。
その後バスで新宿に移動して舞踊学会のシンポジウムの打ち合わせ。ディープな話をたくさん聞くことができて楽しかった。