今日、ジャカルタのRが、ぼくと同じくACCの助成でNYへ出発した。目的もやはりリンカーンセンターのライブラリーだがアーカイヴィング自体にも関心があるらしい。夏に行けばいいものを、NYの冬なんてかなり不安のようで、何しろぼくらが初めて会った五月のダブリンでは一人だけ全身を覆うコートを着込んでフードまで被ってガタガタ震えていたために「ヒマラヤ」と綽名されていたのだった。しかしそれにしても、今思えば、ジャカルタであんな防寒用のコートが売られてるのか、そこはどういう商売で成り立ってるのか、というのは素朴な疑問(赤道近くでも高い山の方とかは寒いのか…)。RはJFK空港の入国審査のことも本当に不安がっていて、いたたまれない。年末に出た水本達也『インドネシア多民族国家という宿命』(中公新書)[amazon]によれば、インドネシア政府は、アメリカの対テロ戦の標的になるのを恐れるがために、バリの爆弾事件の直前まで「インドネシア国内にはテロリストはいない」と必死に主張していたらしい。「インドネシア」という国自体がどこまで実質を伴っているかも危ういのに、地球は「国」際政治に支配されている。