12月の沖縄イヴェントのことで沖縄美術館の前田比呂也さんと話していて、アクターズスクールって地元的にはどういう位置付けなんですかねと話を振ってみたら『独立少女紅蓮隊』という映画を教えてもらい、早速DVDを取り寄せて見た。沖縄出身の若手、安里麻里監督、04年作品。「沖縄」という地名は出ないものの、アクターズスクール(らしきもの)が「王国独立」のための工作員養成所になってて、安室奈美恵っぽい歌手Cocoeと、(年齢的にはSPEEDだけどポジション的にはMAXの)四人組が日本政府の要人を暗殺して回る。「すべての楽器を武器に」っていうのがスタジオ会長のスローガン。
何せ撮影12日間の超低予算アクションなので、見る側がいろいろ想像力で補わないとアレな感じのチープさなのに、笑える脱力感も別に漂ってなくて、映画的にはちょっと厳しいものがあるけど、『Independence』っていう曲がヒット中のCocoeが、渋谷の大型ヴィジョンを通してダンスの動きで指令の暗号を送り、四人は夜な夜なビルのガラス前で稽古して、ダンスっぽいキックで靴先のナイフを振り回したり、ジャズダンスみたいな身のこなしで銃を撃ったりするのなんかは、発想としてはカポエィラみたいな、サバルタン二重言語としてのダンス=格闘技のイメージで面白かった。
DVDには監督の安里麻里と「映画番長」シリーズの監修者である塩田明彦の対談が入っていて、安里が横浜の大学に入って、東京に行くと安室奈美恵が渋谷の大型ヴィジョンに映ってて、スクランブル交差点には大量のアムラーが、という光景を見た瞬間なぜか「アイデンティティ」に目覚めたんだと冗談めかしながら言っていた。こういう話は、大仰な言葉で語れば空々しくなってしまうからといって、冗談めかして言えば塩田の方ではやっぱり全然ピンと来なかったみたいで、その生々しいすれ違い感にはちょっと忘れ難いものがある。
ちなみに、こんなマイナーなDVD探すの大変だろうと思い、ツタヤの宅配レンタルサービスのことをKさんのブログで知ってたので、検索したらすぐ見つかった。何でも揃ってるわけじゃなく、増村保造は随分あるのにエリック・ロメールは一本もないとか奇妙ではあるが、月会員制で、自分の「予約リスト」にどんどん追加できるのが楽しく、ついハマってしまいそうで危ない。二枚ずつ送られてくるので、もう一本は黒沢清の『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』(05年)を借りた。これは楳図かずおのテイストと黒沢清のテイストが信じられないくらい見事に融合した映画で、特に楳図テイストが全く損なわれてないところが凄いように思う。その大部分はたぶん緒川たまきの劇画っぽさに関わっていて、横顔のシルエット(鼻、開いた口の稜線)とか、「ムシになりたい、ムシになりたい、」っていう囁き声が、もうあり得ないくらい効果的に撮影・録音されている。しかもそれでいて終盤は一気に黒沢っぽい「取り返しのつかない」感じのカタストロフへのなだれ込みを見せる。二回見て返却。