月島のギャラリーで金魚(鈴木ユキオ)の新作初日。何というか、すばらしく孤高の、特別な作品だと思う。それらしい快感は全くないが、官能に満ちている。ぼくの見るところ、全面的に「間(ま)」がテーマになっていて、振付家が構成した「間」と、パフォーマーが自分の責任で作り出す「間」とが、二重になっている。そして「間」とは「ノリ」ではない、ということがよくわかる。「ノリ」とは、流れ(既にある、または自分で捏造する)に乗り込んでいくことだが、「間」とは、時間に自分の責任で刻みを入れる(切断する)ことを意味する。適当にはやれない。その都度が一回きりのことだから、狂ってしまいそうなほど瞬間が締め付けられる。根拠なんかもう何もなくなったところで、ズドン、と行く感じが、とりわけ横山良平の大小のアクションの「白昼の通り魔」的な速さ、あるいは「間」の鋭さにあって、やはりこの人は尋常ではないよなと思う。鈴木ユキオのソロの踊りも今回すごく良くて、特に最初のソロは、偏執的なまでに「ノリ」をはねつけ、細かくてその都度違った「間」「間」「間」の畳み掛けでもって動く(動きの質感そのものはマイムっぽいのだけど、リズムが流れないで、垂直に割られる)。