散発的に公表してはいるのだけれども、後藤美紀子さん、横堀ふみさん(大阪Dance Box)と、三人で「アジア地域でのコンテンポラリーダンスの情報交流、アーティストの交流の促進」を目的とする企画集団 Dance Asia を作った。先日の沖縄イヴェントのチラシに名前を出したのが最初で、この次は2月の福岡イヴェントのチラシにも入っている。特徴としては、組織ではない個人のゆるやかな連携でやっていこうというところで、近いうちに国外メンバーも正式に加わってくる予定。ヨーロッパのような、大陸内部で複数の公的組織やフェスティヴァルなどが連携したネットワークは、アジア地域ではなかなか実現しにくい。単純に、各地域が海で隔てられているので交通・輸送費がかさむというのと、言語や文化の面での土台がヨーロッパとは違い、またそれぞれに多様すぎるということもある。そこで何か別のネットワーク・モデルを考えなくてはいけないが、公共政策もあまりあてにできない、商業性からも離れていたい、となると、個人のつながりを強化していくしかない。しかしそう割り切って考えると、案外、集団と違って個人は小回りが効くし、同時多発的に行動できるので、ものすごい速度で動きが拡散していく。重要なのは、一つ一つの動きの規模よりも、そこに太い串を刺して文脈を作り出すことなのだ、と気づいた。さしあたって起点を「第3回アジアダンス会議」に設定して、それ以降のアジア関係の流れをざっと見渡してみるとなかなか凄い。

〔2月〕
▼「第3回ITIアジアダンス会議」開催(森下スタジオ)
▼ジェコ・シオンポ、ピチェ・クランチェン、山下残、横堀ふみ
 「OSAKA-Asia Contemporary Dance Festival 2007」参加(DANCE BOX)
▼【執筆】ヘリー・ミナルティ
 『Jakarta Post』に「第3回ITIアジアダンス会議」レポート


〔3月〕
▼「第3回ITIアジアダンス会議」報告書発行


〔4月〕
▼【執筆】武藤大祐
 『CUT IN』(vol.59)に「第3回ITIアジアダンス会議」レポート


〔5月〕
▼手塚夏子、武藤大祐
 「カラダバー 〜動物のからだを凝視する〜」(門仲天井ホール
▼【執筆】武藤大祐
 『週刊マガジン・ワンダーランド』(43号・44号)に「第3回ITIアジアダンス会議」レポート


〔8月〕
▼タン・フクワン、ジェコ・シオンポ、ピチェ・クランチェン、山下残、横堀ふみ
 「Live Arts Bangkok
▼古後奈緒子、後藤美紀子、武藤大祐
 「Live Arts Bangkok」を視察
▼新鋪美佳、常樂泰、鈴木ユキオ
 JCDN「踊りに行くぜ!!」in アジア参加(クアラルンプール、バンコク、マニラ、ソロ、ジャカルタ


〔10月〕
▼【執筆】武藤大祐
 『舞台芸術』(12号)に論考「差異の空間としてのアジア――「同時代のダンス」の新たな展開に向けて」
▼【執筆】後藤美紀子、岩澤孝子
 『log osaka』にレポート「アジアの現在 LIVE ARTS BANGKOK


〔11月〕
▼【執筆】山下残
 『view point』(No.41)にレポート「LIVE ARTS BANGKOK
▼【執筆】古後奈緒
 『view point』(No.41)にレポート「『せきをしてもひとり』タイ再演における舞踊家の挑戦」
▼後藤美紀子、チェ・ビョンジュ、久野敦子(セゾン文化財団)、武藤大祐、山下残、横堀ふみ
 「アジアダンス勉強会 vol.1」(森下スタジオ)
▼武藤大祐
 アグン・グナワン&鈴木一琥『Water Dimension』のアーティストトークを担当(門仲天井ホール
山下残
 『せきをしてもひとり 〜タイ・ヴァージョン〜』横浜公演(創造空間9001)
▼後藤美紀子、武藤大祐、横堀ふみ
 「Dance Asia」設立


〔12月〕
▼ジェコ・シオンポ、ヘリー・ミナルティ、武藤大祐
 「Dance Gathering 2007」に参加(ジャカルタ、プンチャック)
▼ピチェ・クランチェン、武藤大祐、前田比呂也、後藤美紀子、横堀ふみ
 タイ×日本共同制作ダンス公演「テーパノン」(沖縄県立美術館)★ Dance Asia 企画協力
▼ピチェ・クランチェン、横堀ふみ
 タイ×日本共同制作ダンス公演「テーパノン」(島根県益田市各所)
▼ピチェ・クランチェン、山下残、後藤美紀子、横堀ふみ
 シンポジウム「アジアから国際共同制作の可能性を考える」(DANCE BOX)
▼【執筆】武藤大祐
 『wa』(Vol.36)に紹介記事「新しいアジアのダンス(1)」


2008年
〔2月〕
▼ピチェ・クランチェン、ジェコ・シオンポ、武藤大祐
 「波に乗れ!ダンス波〜アジア・コンテンポラリーダンス・ナウ!〜」(福岡アジア美術館ぽんプラザホール)★ Dance Asia 協力

いくつもの文脈が絡み合うから、これだけ膨らむのではあるが、とにかくそこに一本、串を通すか通さないかで見え方がまったく違う。行動する主体はバラバラで、必ずしも考え方が統一されていなくても、こんな風に広くつないでいけば大きいことがやれるんじゃないかという気がする。さらにそういうネットワーキングの手法が「アジア的な」モデルということにつながっていくかも知れない、などとも思っている。