びわ湖ホールで二度目のシュイナールを見て、トーク。東京と同じく、マリーは司会者の質問をことごとく突っぱねていくモードで攻めて来たので、まずは損な役回りと割り切るが、テンション自体は最初から高く、自分でどんどん話してくれて安堵。しかし単なる「交流会」みたいな当たり障りのないアフタートークは厭だし、わざわざ呼んでもらっている手前もあり、それなりに準備してきたネタでもっとディープな話に持っていこうとしたのだが、途中、いきなり客席から女性の声で結構なヤジが飛んで来て、暴力的に止めさせられてしまった。それをここに詳しく書けば、ぼくの精神衛生上は良いのだけど、読む人が不快になるだろうから書かないでおく。会場全体が数秒間凍って、後でマリーもビビッていた。残りは客席から質問を受け、どんどん手が挙がって最終的にはとても盛り上がり、次回の来日公演への期待が高まるような、いいムードで終えられた。でもこれなら別に専門家でなくたって、誰でもできる仕事。ダンスのアフタートークは、どうやったらこの知的水準から脱却できるのかと思う。
今日のマリー語録で印象的だったのは、ダンスは「説明できないことに取り組むこと」なんだという話。「説明できない」のは身体やその衝動的なエネルギーのみならず、通常は科学で説明されている様々な現象(重力、光など)も究極的には「説明」などできていないのであり、そうした「神秘」を「神秘」のままに受け留めるというようなことを言っていた。つくづく考え方が特異だと思う。一体どういう経緯でダンスをやるようになったのか、そういう辺りもデータが全然ないし、詳しく聞いてみたかった。あと、シュイナールは1978年に(欧米では珍しく)ソロで活動を始めているのだが、1990年に踊るのをやめて以来おそらく初めて、自作自演の新作ソロを制作中とのことだった。