芸術見本市の演劇ショーケースで dracom を見る。終わり近くで途中退出しなくちゃならなかったとはいえ、何をやっているのかほとんど理解できず、軽くショック。アジアのダンスの映像ショーケース。フクワンは、ピチェ・クランチェン、ジェコ・シオンポ、エリ・メフリ、パドミニ・チェター、ディック・ウォンを紹介したが、相変わらず切り口が明解で面白かった。アジアにおいては「自己(self)」ないしは個人というものが出現してきたのが比較的遅く、そこからアイデンティティや文化・歴史的な背景を含めた「自己」ないしその身体、ダンスを再検証していく作業が始まっている、云々。ヘリーはややディープに、インドネシアのダンスとその近代化について、制度面から話をして、映像はほとんどなし。司会としては両方をつないで話を転がすのに苦戦してしまったが、アジアのダンスが、アジアではなくヨーロッパで評価されているという事実をめぐって、フロアも含めて議論が盛り上がり始めたところでタイムアウトに。ちなみにぼくとしては、ヨーロッパで受けてアジアで受けないということは、そもそもアジアの観客や環境に照準を合わせられていなくて「ヨーロッパ仕様」でものを作ってしまっている証拠なんじゃないか、という意地悪な突っ込みも用意していたのだが。全体に、「映像ショーケース」なのか、ディスカッションが主体なのかがやや曖昧だったと思う。