今週はいくつもの書類仕事で体力の限界。もう倒れそうになりながら今日は食事の時間もなかなか取れない状態で、でも仕事が終わって群馬から横浜まで移動して見た木ノ下歌舞伎の『勧進帳』は一週間の疲れが全部吹き飛ぶような面白さだった。ヒューマンビートボックスもあり、ヒールですり足もあり、しかし単に歌舞伎をポップにやってみましたというようなスーフラ的思い付きからはほど遠い。こだわりとディテールの積み重ねから来る濃厚さは、見た目よりも深層のレベルで「歌舞伎的」な何かとしかいいようのないエッセンスを時折り垣間見せてくれる。しかも弁慶と富樫が日米関係とダブって見えるようなところもあって、終盤はずっと普天間基地のことを考えながら見てしまった。木ノ下+杉原組、今後がすごく楽しみになってきた。

テッサ:[…]日本からオバマのようなリーダーが登場するとしたなら、それはきっと沖縄からなのではないでしょうか。天地をひっくり返すような構造転換がないと、それもなかなか難しい。
吉見:そうですね。沖縄から日本のオバマが現れる。しかも自民党ではなく。もし沖縄からそんな政治リーダーが出てきて首相になれば、人々の価値観が大きく変わるでしょう。


吉見俊哉/テッサ・モーリス−スズキ『天皇アメリカ』(集英社新書、2010年、169頁)[amazon]