2006-01-01から1年間の記事一覧

読まなきゃいけないものはいっぱいあるのに、『LOFT』の公開もあって黒沢清本が相次いで出て、アマゾンから届いてしまって、読み始めてしまう。『黒沢清の映画術』(新潮社)[amazon]、ずっと手に入らなかった『映像のカリスマ』の増補改訂版(エクスナレッ…

大倉摩矢子の初日。「ラボ20」以来ゆっくり地道に変わり続けていたことは確かだが、今回はもう思い切り変わっていて驚いた。得意の粘着質はあまり出ず、動きはむしろ軽やかであり、全編に渡って風通しがいい。ありていにいえば踊りに幅が出ているのだが、た…

3月にブルックリンで血を吐きながら書いた原稿が載った Theater der Zeit 9月号がようやく届いた。日本のドメスティックな現象としての「コンテンポラリーダンス」(ぼくは英語で表記する時は Contemporary Dance ではなく Kontemporari Dansu としている…

土曜の昼、舞台に森山開次が出てきて、すぐに「縮んでる」と思い、実際最後まで踊りは萎縮していた。それで気付いたのだが、ずっと前からダンスは「目より先に筋肉に来る」という風に思っていたのはもうちょっと正確に表現できる。つまり、人は網膜に映るも…

アルディッティ・カルテットは前半の細川と西村が素晴らし過ぎて、後半のケージ&白井剛は最初なかなか入れなかったのだが、白井独特の過剰なまでの「デリカシー」がだんだんケージの音楽の優しさ、温かみと入り交じって、何ともいえない濃い空間が生まれた…

久しぶりに学会発表の仕込み中。イヴォンヌ・レイナー研究の一発目なのだが、レイナーは70年代に映画に転向したため(ただし99年からダンスにも復帰)、先行研究を見ると映画理論にもまたがっていることが多くて、下手に深追いすると他のポストモダンダンス…

今回のNYは三週間の滞在だったが、とにかく規則正しくライブラリーに通い詰めたので知人や友人とはほとんど会えなかった。そもそもお知らせメールすら流さなかったので、Jから「電話で相談したいことがあるんだけど」とメールをもらって「実は今NYにい…

全く取りとめがなくなってしまうが最近考えたことが色々つながっているみたいなのでそのまま書くことにした。 Wege zu... の続き。石井漠がまた出てきて、この映画にはあの『囚われ人』の映像が丸ごと含まれているのだった。よく石井漠のこれはほとんど舞踏…

木曜は閉館が8時なので7時間くらいはヴィデオを見た。アメリカのモダン初期からの流れでドイツももっと知りたくなり、表現主義系を漁る。マリー・ヴィグマンといえば『魔女の踊り』だが、よく見かける音と動きがズレた、グロテスクな印象しか残らないあの…

Village Voice にデボラ・ジョウィットのヤスミン・ゴデール評が出た。NYU時代の教え子ということもあり同情的な書き方だが、イメージが「ステレオタイプ」で「ビザール」、自分たちが演じている役柄をよく理解していない、と辛目の評になっている。現実…

ここ数日暑さがゆるんで過ごしやすい。夜はリトル・イタリーへ行って食事。車を通行止めにした道の両脇に賑やかなテラスが並び、人が大勢ひしめき合っていて、本当にイタリアに来たみたいな気分になる。シーフードが気前よく入ったパスタとワインで、8時頃…

エリオット・カプラン監督の『Cage / Cunningham』というドキュメンタリーで、ケージが、カリフォルニアの大学でシェーンベルクの授業を受けていた時、シェーンベルクは学生に向かってこう言ったという。「私の目的は皆さんに教えることです。皆さんにとって…

引越しなどもあって疲れが溜まっていたので完全オフにし、午後までゆっくりメールを書いたりウェブの更新作業をしてから、Mと家の近くを探索した。前の通りにはレストランなどがほとんどないが、隣の通りまで歩いたらとても賑やかだった。服屋をのぞいたり…

一週間ほどクイーンズのM宅に居候していて、今日ブルックリンへ越してきた。クイーンズは物価が安くて、親しみ易い下町の雰囲気だったが、パークスロープは郊外の閑静な住宅地という雰囲気で、街路樹の緑が濃くて道も静かだし、とにかく美しい街並。 今週は…

7月18日。午前中の便で成田からデンパサールまで。ガルーダの機内は異様に空いていて、例によって一睡もしてなかったので四列占拠して寝る。デンパサールに着くと、トランジットとはいえ空港の中もバリ臭がプンプンしていて少し緊張。野良犬に吠えられながら…

ジャカルタではまた新しく日本のダンスを文脈化するエッセイを書き、なかなか反響も大きく、成功といって良さそうな手応えを得た。今回の主題としては日本のダンスをポスト冷戦・ポストバブルの状況の中に位置づけ、グローバルなスペクタクルの経済への抵抗…

去年、支笏湖畔でムックリを買った時の袋に、「ムックリの鳴らし方」とともに書かれてあった詩。 たかのあきら「ヤイシャマ」 少女よ いま ムックリを 鳴らしたくは ありませんか あなたの唇に アイヌの口琴を 咲かせてはみませんか びゅるん びゅろん びゅ…

一日中、机にへばりついている。尻が痛い、腰が痛い。コンピューターの熱で部屋が暑くて、座ってるだけで汗をかく。 今度もまたインドネシア語を勉強する時間はなかった。というか前に覚えた分も全部忘れてしまった。 一日に200通はくだらないスパムメールの…

「スター」システムをはじめとするスペクタクルは、それ自体と「観客」との関係を固定し再生産しようとする。いいかえれば、ある「対象」を「見る」ことが人々にとって自明で疑う余地のないものになった時、スペクタクルと「観客」が同時に生まれるのだとい…

しかし思ってみれば、キノコは(とりわけ2000年の『フリル(ミニ)』以降、と但し書きをつける必要はないかも知れない)ほぼ一貫して、日常性とスペクタクルの問題に固執してきたのだった。今回のソロも例外ではなく、冒頭から「スター」のパロディが行われ…

入稿…。しかしあと十日ほどの間に片付けることが山ほど残っている。 湿気で、部屋にある本がそろってシワシワに波打っている。いつの間にかそうなっていて、また気づかないうちに元に戻るのだろうと思うと、何となく「かわいい」感じがする。 『日本沈没』リ…

次から次へと忙しくて全くやりたいことができない病。 「陸上自衛隊のイラク撤退」を「自衛隊のイラク撤退」だと勘違いしている人が実際に多いらしくて、この国の民主主義なるものの惨状には震え上がってしまう。陸自の撤退が、空自の配備拡大と交換条件にな…

与野まで早めに出かけ、GさんSさんYさんとミーティングのため劇場下のカフェへ行ったらOくんが仕事をしていた。もうすぐ執筆のために出版社のカンヅメというやつに入るとのこと。 ミーティングはまだブレストの段階なのだがそれゆえにすごく面白い話が出…

今年の夏の予定が固まった。7月18日〜23日、インドネシアン・ダンス・フェスティヴァル参加のためジャカルタ。7月24日朝に成田着、夕方の便でNYへ向かい同日着。ポストモダンダンスに関する追加調査が目的だが今回は自費なので超赤貧旅行の見込み。8月1…

何かのCMで志村けんと一緒に踊っている研ナオコの動きがすごく良くて、『カックラキン大放送』の記憶とともに野口五郎の秀逸なボケっぷりまで思い出した。久しぶりに見た研ナオコは相変わらず、ヘンな脱力をして、スッとぼけたキャラクターになって、何し…

先日リゲティが亡くなった。背伸びして音楽を聴いていた頃、この人のピアノ協奏曲にハマッたことがきっかけで、ある種の音楽に開眼したという記憶があり、だから今でもそんなに詳しくは知らないのに思い入れが深い。ベルリンに旅行した時に、教会でやってい…

昨日はとにかく色んな人に会ってたくさん話した。ミーティング的な用事が終わった後も、下北沢へ行き、ジョクジャカルタのテアトル・ガラシとク・ナウカの舞台を見てから、脚本を書いたウゴランや演出家のユディたちに会った。去年9月にスタジオへお邪魔し…

最近テレビで、オーストラリアで子供がアルパカの子供とぶつかり合ってラグビーのタックルの稽古をしているとかいうどうでもいいニュース(?)が流れているが、その十数秒の映像の中に、この仔アルパカがはしゃいで駆けながらジャンプしたところ空中でバラ…

金曜はBankARTでジャン=バティスト・アンドレ。ドゥクフレにも出ていた人だが、先月のヴィデオダンスでクリスチャン・リゾーの作品を踊っているのを見て衝撃を受けて、気がついたら公演があって、結構楽しみにしていたもの。日仏学院の企画で、あまりダンス…

昨日は有楽町で池田亮司のコンサート(?)。前に京都で見たのと比べると空間が漠然と広がっていてインパクトはイマイチだったが、「意味」を消去しようとする行為の意味、「非人間的」なものへの憧れの人間臭さについて考えさせられた。マレーシアから来て…